昨日の土曜日は母と横浜美術館へ。ポンペイ展を観に行ってきました。
ときどき母と美術館やら博物館へ行きますが、これらはほとんど母が新聞屋さんから招待券をゲットしているのです。阿修羅展も長谷川等伯展も母の戦利品でした。そして今回のポンペイ展。これは私が 『今度はポンペイ展が観たいな〜』とうかつにもつぶやいたことから、母が新聞屋さんにポンペイ展の券は無いのかしら?と訊ねたところ、後援の新聞社が違うため扱いが無いと言われ、なんと父が職場で取っている読売新聞へ問い合わせて抽選に応募して獲得した貴重なチケットでありました………そんなつもりではなかったのに。でも招待券もらえてラッキー。ちなみに父は小さいながら自営なのでつまり自分が別に取っている新聞屋さんに問い合わせた。サラリーマンなら無理だろう。
ポンペイ展ポンペイ展……とつぶやいて出かけた会場は思ったよりは空いてましたけど、展示品によっては黒山の人だかりが出来てました。ゆっくり観て2時間ほどの展示です。冒頭にはご存知の火山灰に埋もれて亡くなった人の型をとって復元した石膏像が展示されていました。これは遺体部分が腐ってなくなり、火山灰の中に空洞ができたところに、発掘の時に石膏を流し込み形を再現したものです。展示は1体のみで日本の発掘隊が最初に手がけた石膏の人型の2体の内の1体。共に奴隷で内ひとりは足かせがついていたそうです。避難の途中に外堀に誤って落ちてしまったあと火山灰に埋もれて死んだ二人と推測。展示の1体は足かせの無い石膏の人型で地面にひれ伏すように横たわっていました。そしてもう1体の足かせの鉄輪が展示されていました。
この後、ポンペイの繁栄振りと高度な文明が次々に展示品により紹介されます。
日本が弥生時代だったころにポンペイの裕福層はボイラー付きの風呂に入り、モザイクの床、美しいフレスコ画に囲まれ、凝った庭を整備して暮らしていました。グルメに興じておいしいものをむさぼるようにして食べ、満腹になったら吐き戻してまで美食に興じたということ。なんとあの「ヤマネ」まで食材として自宅で飼育していたそうでヤマネの飼育箱も展示していました。
それにしても人間も文明も大自然の力の前にはあっけないものです。ある日火山が大爆発。街は一晩の内に消滅。そして皮肉にも火山灰が街を丸々すっぽり包んでくれたおかげでフレスコ画も生活用品も、そして遺体までもがしっかりと保存され2000年の時を経て、その生活振りを現代に伝えているのでした。そうした高度な文明を満喫していた人々の一方で奴隷がいて、その奴隷も同じ火山爆発に遭遇して避難途中に死ぬ……なんだか冒頭の石膏人型が頭から離れませんでした。可哀想というかやるせない気持ちになったのです。他の展示品が素晴らしく美しかったから尚、あの横たわった姿とのコントラストが悲しく思えました。火山噴火の凄まじさを伝えたのはおそらくあの人型だけだったと思います。この展覧会はポンペイの文明の凄さを伝える趣旨なんでしょうけど、最初の1発目の展示が後々まで何かを考えさせるスパイスになっているように思えました。
横浜近郊にお住まいの方はどうぞ!私のこの感想はとても感傷的な内容ですが、理屈抜きで「すごい〜」と思える展示がたくさんあります。発掘されたボイラーと浴室をそのまま展示とかね……でも美術展覧会ですのでフレスコ画が多いですよ。
ポンペイ展公式HPはこちらです。
ちょっと逸れますが、以前も紹介した漫画『テルマエ・ロマエ』の1話分が無料で読めるようです。
風呂好き、人間的な神々への信仰、お魚好き……日本人にちょっと重なる部分のあるポンペイ、ローマの人々を題材とする漫画……クスッと笑えます。
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