最近の山岳遭難ニュースを観て思う事
九州 韓国岳で行方不明になっていた小学生が亡くなってしまいました。
楽しいはずの山歩きがこのような悲しいことになってしまって、ご家族の心中を思うといたたまれない気持ちになります。また私が初めて『登山らしい登山』としてチャレンジした大山でも、登山道から足を滑らせて滑落した息子さんを救おうとしたお父さんが亡くなったというニュースもありました。クレヨンしんちゃんの原作者の方の遭難や、北アルプスでの救助ヘリの事故など、このところ登山ブームの一方で、このような悲しいニュースが多くなっている気がします。
時々ブログでも書いていますが、私は学生時代から社会人になって数年の頃にキャンプやら山歩き、カヌーやら歩くスキーやらやってました。これは自分の本意ではなく、当時付き合っていた彼がいきなりアウトドアに目覚めてしまい、それに付き合わされていたという経緯からです。その時にいくらかの装備を揃えていたので、最近自分で山歩きをするようになったときは使えるものも多くて投資が楽でした。……話逸れましたけど、その元カレがアウトドアを一緒にやろうと半ば強引に誘った時に、私に最初に手渡したのはなんと緊急時用のキットだったのです。固形燃料とか笛とか水に濡れても火がつくマッチとか、あと銀色の薄い緊急シート(寒くなった時にこれにくるまるとあたたかい)が入ったタッパをくれてザックに詰めろと言いました。『こんなのを使う可能性のあるところに行くのかいッ!! 』と衝撃を受けたのですが、後から考えたら、この行動はアウトドア(特に山歩き)をするには至極当然の事であったと思うのです。
自分一人で山歩きをするようになって、ネットで情報収集したり、山関連の本を読んでも、雨具、ライト、衣類、ツェルトなど最低限のものは持ち、また扱えるようにしておかないと思わぬところで遭難に直結することがある、と書いてあったので、私も簡単な山に行くときでもこれらは必ず携行するようになってます。そして当日までの入念な体調の調整と、日頃からの体調管理やトレーニングなども考慮に入れなければいけません。……今の私のように体調や精神的に疲労しているときは、どんなに山歩きがしたくたって行けない、または軽い行程に変更せざるを得なくなるのです。
また全くの単独歩行をする機会のある場合は、もしもの時に誰も気づいてくれないということになりかねません。先日の涸沢に独りで出かけたときのように、登山届け提出は当然としても、休憩中に何の気無しに見知らぬ人達とおしゃべりするコミュニケーションすら命綱になることもあるのだ、と最近は考えるようになっています。山に入って静けさを求め、完全に自然と自分の1対1を味わうのも良いけれど、誰ともコミュニケーションを取らないことは、万が一の遭難時に救出を遅らせるリスクを生んでいることもあるのだと思うようになりました。
装備、技術、体力、精神力、コミュニケーション術……これらを最低限でも備えていないと、自然のまっただ中へ行くのは危険なのかなと、最近のニュースを観ていると考えさせられてしまいます。
とはいえ、都会のコンクリートジャングルにいても形は違えど同じような技術が求められてもいえるのかな。
ただ愛情や絆を深める為、ストレスを解放する為、そうして出かけた先での事故の遭遇を考えると、関係する方々の気持ちはどれほどのものだろうと悲しくなります。事故の原因はひとつではないのです。いくつかの原因(偶然)が重なって繋がるものだと思います。だからどんなにベテランでも、準備を怠らない人でも、事故に遭遇することはあるのです。今回の韓国岳のニュースのご家族はきっと愛情が深い分傷も深いと思いますが、どうか周囲の皆さんと支え合い、自分や回りを責め合う事無く、哀しみから立ち直っていただきたいなと祈るばかりです。
そしてこのアウトドアブームのなかで、その明るい面しかクローズアップされない情報だけを鵜呑みにせず、同じような事故が二度と起こさないように、自然に入る人は「怠らず、恐れすぎず」を考え、準備すべきと思うのでした。
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